自分の中で再ブームが起きて2016年の7月からはじめた私の「カスタネダ再訪の旅」ですが、ついにマーガレット・カスタネダ著『カルロス・カスタネダとの魔法の旅』の紹介を済ませることができました。
もともとカスタネダの自著を全部おさらいするつもりだったのですが『力の第二の環』まで進んだところでエイミー・ウォレスの著書に寄り道して彼の実像に近づいたことで、後半の著書についてはおさらいをする意味があまりないなと思うようになりました。
(『無限の本質』についてだけは、それでも”おさらい”をする価値があるかなと思っていますので、また機会を見つけたいと思います)
以上をふまえ「デスクトップ・ディテクティブ」のヘナチョコ推理による暫定的結論を書いておきます。
カスタネダは、
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本当にフィールドワークを行い、何人かのネイティブにインタビューを行った。
時には、実際にリチュアル(儀式)に参加させてもらった。
メモもとったが人々の会話も録音した。
伝統的な知恵をもつ老インディアンたちに出会って仲良くなった。老インディアンは、商売をしている似非グルとは似ても似つかない本物の師匠だったが、高齢のため他界した。
カルロスは、呪術師の内弟子にはなっていないか、なっていたとしても免許皆伝はもらえなかった。
シリーズ3巻目くらいまでは、フィールドワークの内容を膨らませてネタがもったが、以降は、師匠不在となりオリジナルで創作していったので、ドン・ファンは急にニューエイジ用語をこねくりまわすインテリになってしまった。
2巻目の後半の「ヘナロの滝わたり」あたりから超常現象を織り交ぜていき、以降、巻が進むにしたがい虚構と東西神秘哲学を組み合わせて筆を進めていった。
文中、ドン・ファンやヘナロにもからかわれていますが、女好きが高じて自分のグルーピーを洗脳してハーレムを作った。
同時に、自分も女性たちも自分たちがついたウソを自身でも信じるようになっていった。
正しい指導を受けずに瞑想を実践していたためメンバーは精神にも少しずつ異常をきたしていった。
カスタネダ自身が高齢になりグループのリーダーたちが法人によるビジネスを推進した。
この動きはカスタネダ自身もコントロールできなくなり、自身の自由も奪われてしまい最愛の息子(養子)にも会わせてもらえなくなってしまった。
これがカルロス・カスタネダの真実だと思っています。
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『時の輪』のあとがきより
明かされた力 ~ 解題にかえて
北山耕平
一度知ったら戻ってこれない、そしてどこにも辿り着けない旅、それがカルロス・カスタネダを読むということなのだ。
危険だが、その価値はあるはずだ。
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リチャード・デ・ミルの言葉
カスタネダは、ただの詐欺師ではない。彼のウソは私たちを真実に導いてくれる。彼の話は本当の話ではないのに真実で一杯だ。これは呪術師の贈り物だ、まったく正反対のもの―知恵と欺瞞を同時に扱う曖昧模糊とした魔法の書である。