~メスカリト合宿~
カルロスは、ドン・ファンに誘われてインディアンたちのメスカリト合宿、ミトテ(mitote)という行事に参加します。
四日間連続して行われた荒行付きの「自己啓発セミナー」です。
mitoteの意味を調べてみました。
mitote : secular dance of the Aztec and other tribes (Mexico)
メキシコ、アズテックや他の部族の民族舞踊
カルロスが参加したのは、ドラッグパーティーですからダンスではないですが、みんなで歌を歌いまくりますので、まぁミトテなんでしょうね。
それ(ミトテ)は「ペヨーテロス(peyoteros)と弟子のための儀式」だったとありますが、ペヨーテロスってなんだ?
本文にも解説はありません。もしかするとスペイン語学習者なら当たり前の「接尾辞」なのかもしれません。いろいろネットで当たってみましたが確証を得られませんでした。
登場する人々を整理しておきます。
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・ドンファン
・ドンファンと同じくらいの年齢の老人二人、この老人の内、一人がドン・ロベルト(Don Roberto)というリーダー
・5人の若者(カルロスを含む)
・付き添いの女性たち
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場所は、チワワで行われたそうです。
セッションは1964年9月3日が初日で都合四日続きます。
東京オリンピックが終わって間もなくですね。
男たちがラリってるのをしり目に、世話焼きの女性たちが呑気におしゃべりしている日常性が面白いなと思います。
このテの情景描写って創作で作れるものでしょうか?
小説家だったら、もっと雰囲気をつくるため、つい演出を入れてしまうのではと思います。
前述のようにセッションでは参加者がみな自分のペヨーテの歌を唄います。
カルロスだけがペヨーテソングを持っていなかったので疎外感を味わいますが、メスカリトと再会し懇願して自分の歌を教えてもらい、おまけにメスカリトの名前も教えてもらいます。
さて日本語版の174ページにまたキノコ関係の誤訳(というより誤記に近い)があります。
—–引用———-
ロフォフォラ・ウィリアムシイ(Lophophora williamsii)のキノコに何が含まれていようと、それがひとつの実態として存在するためにはわたしとはまったく無関係であり、それはそれ自身そこに十分存在しているのだ。
(前略)whatever is contained in the cactus Lophophora williamsii had nothing to do
with me in order to exist as an entity; it existed by itself out there (後略)
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ご覧のように原文では、cactus(サボテン)となっています。
文章の趣旨とは無関係ではありますが、日本語版だけを読んでいるとこの部分で荒さがしをしちゃうかもしれませんので念のため。
メスカリト「何が欲しい?」
カルロスは、自分の生活や行動の誤りを教えてほしいと言いました。
生マジメです。
(初出:2016年7月21日「メスカリト合宿 (教え 8 メスカリトの教え(1/2))」)