話は、その後の訪問になりますが、時期は不明です。(力69)
ドン・ファンは、カルロスが深刻にものごとを考えすぎだといい、戦士の心得をつたえます。
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「いつもとちがう状況に直面したときに、わしらが何度も繰り返す悪しき習慣が三つある。第一は、起きていることや起きたことを、まるで何事もなかったかのように無視することだ。それは偏屈な奴のやることだ。二番目は、すべてを額面どおりに受け入れて、何が起きているかはわかっている、と思い込むことだ。三番目は、出来事を無視することも受け入れることもできないせいで、それに取り憑かれてしまうことだ。それは愚か者のやることだ。お前はどうかって?四番目があってな。それは正しいやり方、戦士のやり方だ。戦士は何事もなかったかのようにふるまうんだよ。なぜなら、戦士はすべての存在を信じていないからだ。と同時に額面どおりに受け入れもする。受け入れることなく受け入れ、無視することなく無視するんだ。戦士は知ったかぶりなどしないし、何事もなかったなどとも思わない。がたがた震えるほど恐れていても、冷静にふるまう。そういうふるまいをすることで、取り憑かれたものを追い払うんだ」(力71)
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カスタネダの創作かもしれませんが、それにしてもいいこと言いますよね。
「ドン・ヘナロは、自分の分身を使って何百マイルも離れたところで人を殺すことができるのかい?」
「お前の話は暴力のことばかりだな。
「ヘナロには誰も殺せないさ。なんせ、他人にはこれっぽちも興味がないんだからな。”見ること”と”夢見”ができるようになって自分の輝きを意識するようになった戦士は、そういうことに興味がなくなるんだ」(力77)
分身にそんなに興味があるのなら、またヘナロを呼んだらどうだ?といわれてカルロスは飛び上がるほどビビります。カルロスは、これまでの体験でヘナロというだけで恐れるようになっています。
恐怖に駆られてカルロスは、「西を向き、その場で足踏み」をします。(体術)(力80)
その足踏み動作の目的は、日没直前の夕陽から”力”を引き出すことにあるそうですが、カルロスは、恐怖で感覚がマヒしてしまいます。
ドン・ファンによると「分身」は”夢見”から始めるそうです。(力83)
ドン・ファンのリクエストにしたがいヘナロは、カルロスに自分の分身の体験談を語ります。86ページあたりからかなりの量になりますが、このブログでは割愛します。
分身に関する講義につづいてカルロスは、いきなりドン・ファンとヘナロに「バラバラ」にされます。(力92)最後に、ヘナロがカルロスの首を叩くと気を失ってしまいます。(力102)
なかなかいい話が多いこの『力の話』ですが、本ブログ的には内容を流す感じになってしまうのが少し残念です。
(初出:2016年11月21日)