短くしようとしているのに、ついつい章を二つに分割するハメになりがちです。
1961年12月28日、二人は「力を狩る」ために山へ旅に出ました。
そこでドン・ファンが恩師について語ります。
「わしの恩師は(力の使い方を知っていたので)ただ誰かを見つめるだけで、そいつを死ぬほどの病気にすることもできた」
「わしの恩師は、激しい気性の人だった。その感覚を通して力をためたんだ」
私たち一般人がイメージする通りのブルホ(呪術師)がナワール・フリアン(ドン・ファンの恩師)だったんですね。
ドン・ファンは旅の支度としてカルロスに「力の食料」を持たせます。
独特なシカの肉だそうです。これがあれば必要とあらば何カ月ももつと言います。
カルロスは、8月17日にもこの「力の肉」を食べていますので4カ月ぶりになります。
二人は風の向きに注意しながら進みます。
山の頂上に近い岩のバルコニーに着いて仮小屋のような覆いを作ります。ドン・ファンが教えるまでなにげなくノートをつけるように言われます。何事もなかったかのように振る舞うのが重要らしいのです。やがてドンファンがカルロスをつつきささやきます。
「あの霧のかたまりにそって、目を前後に動かすんだ」彼が言った。「だが、直接見るんじゃないぞ。まばたきするだけで、焦点を霧に合わせちゃいかん」(体術)
しばらくすると霧の間に「橋」が見えます。
見とれているとドン・ファンに水をかけられて我に返ります。ぞっとするような長い鳥の鳴き声が聞こえます。
ドン・ファンがあの叫び声は鳥のものじゃないと言い、そこを去らなければならないと言います。ほうほうの体で平地まで逃げると、ドン・ファンにそこにあるほら穴に逃げ込むよう言われます。その後、稲妻の大軍に襲われます。
カルロスが目ざめると(12月29日)、一晩ほら穴にいたと思っていたのが密生したヤブの中だったとわかり驚愕します。
この後、カルロスが必死にノートをとる場面がありますが、山の中の雨に振られても大丈夫なのでしょうか?どこにノートを仕舞って歩いていたのでしょうか?
持ち物といえば、ドン・ファンとカルロスはこうしたフィールド・トリップ(遠足)に出向くとき、ヒョウタンに食料(この場合は、シカの肉)や水を入れたヒョウタンを持ち歩きます。
原文ではヒョウタンはgourdというそうです。
水を入れるのはわかりますが、ヒョウタンにどうやって肉を入れるのだろう?と不思議に思ったので調べてみました。
いろんな形状のものがあるようですが、文中にもときどき出てくるように腰にぶら下げるためには、やはり私たちがまっさきに思い浮かべる中がくびれている形のものでないと按配が悪いのではないかなと思います。
干し肉だから細く切ってあるとは思いますが、液体なら「栓」でいいと思いますが、蓋はどうなっているのでしょうか?まさか「おみくじ」みたいに振って取り出すわけもないし。
(初出:2016年9月20日)