実は、この第15章から後のエピソードについては今回読み直すまですっかり記憶から消えていました。
それほどラ・カタリーナの話が強烈な印象を与えていたのでしょう。
シリーズの後で、このラ・カタリーナがカスタネダのことを好きになったという話題がでますが作品の中では二人が直接言葉を交わすシーンは登場しません。
前章で、目をつかわずに音に注力しろと言われたカルロスは、二か月間『世界の音』に聴き入る訓練をはじめたとあります。訓練のやり方についてはまったく書かれていません。耳を澄ませるだけでしょうか?見ずに聴いて自分に語りかけないことだそうですが。
その訓練を経て1969年11月10日朝9時に訪問すると二人で東の山の方へ遠出をし、きざみを吸います。
ドン・ファンに『穴』を見つけろと言われます。穴の中にあらゆる種類のメッセージや訓令が見つけられるのだそうです。
ドン・ファンはスピリットキャチャーという「紐」を使ってカルロスをサポートします。あたりの音に集中していると「穴」とは「音と音との間の空間」だったことがわかります。
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ひとつひとつの音の拍子は実は音のパターン全体における単位となっていたのである。このように音と音の間の空間なり休止というのは、それに注意を払えば、ある構造における穴だったのだ。(分離277)
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気がつくと再び例の畑が見え、盟友が立っていました。
盟友が自分に向かってきて身の危険を感じましたが、顔をそむけることができませんでした。ですが・・・
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ドン・ファンが盾として『心ある道』の項目について話してくれたときの意味がわかったのである。生活のなかでしたいことがあったのだ。それは非常に消耗的かつ好奇心をそそるものでわたしを平和と喜びで満たしてくれる何かであった。盟友がわたしを打ち負かすことはできないことがわかった。そして彼の顔全体を見る前に何の苦もなく頭を動かすことができたのである。(分離279)
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確かにドン・ファンは「楯」とは「人間がすること」だと言ってました。生活の中でしたかったことってなんでしょう?スイミングとかゴルフとかそういう日常のことなのかもです。
「酔い覚まし」にまた川に行きます。
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ドン・ファンがわたしを非常に小さな川へ連れて行って服を脱がせ、そのなかで転がした。(分離279)(体術)
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「転がす」ってどのように転がすのでしょうか?鉛筆みたいに?コロコロと?
いつものように、おさらいセッションでドン・ファンが教えてくれます。
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呪術師の盟友は音の中の穴を通して複雑なものごとを明かしてくれる(分離280)
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カルロスは(まだ)盟友を持ってないのだそうです。
うーん。こんなに出会っていてもまだ持ってないんですね。とにかくうち勝たないと盟友を手にいれることはできないのでしょうか?
ところで、
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わしのスピリットキャッチャーはイノシシなんだ。
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と今回の旅の目的は「狩り」だったはずだという話の流れでドン・ファンが言います。はて?私はスピリットキャッチャーは、ネット検索結果の影響もありすっかり「楽器」のことだと思ってました。
ところが、スピリットキャッチャーを盟友がくれるものだというのです(分離282)
スピリットキャチャーと精霊の関係などについて対話があります。
長いので割愛しますが実践にご興味のあるかたは本編をご覧ください。
(初出:2016年8月31日「分離15 音の中の穴」)