キャロルは、マジカルパスのことを単なるマーシャルアートではなくナワールからナワールへ受け継がれるものだといった。
カルロスはマジカルパスを”Tensegrity passes!”とも呼んでいた。
テンセグリティは、バックミンスター・フラーが作った用語でフラーが亡くなるまで揉めていて最後まで解決しなかった。
以前、このエピソードについては『メリッサ・ウォードの話』で触れました。
元ネタがここです。フラーは、建築業界、そして思想家としても有名で、年配の方なら「宇宙船地球号」というフレーズでおなじみかもしれません。
数週間後、ZunaのいとこのPoonaに紹介された。
二人は実際は血はつながってなく仲が大変悪いのにルームメイトで、おたがいを”小暴君”として二人の忍耐力と寛容さを養っているそうだ。特別なマジカルパスを習ってお互いの愛をはぐくんでいるといっていたが、私の知る限り二人の関係が改善したようには思えなかった。
Rick(Fosterman)は、小さいオフィスを構えグループから選抜したメンバーを雇っていた。
会社の名前は”Toltec Artists”といった。
不思議なことに、カルロスは私の家にとりついた呪いについてはすっかり忘れてしまっているようだった。
口説くための方便ですからね。
次の授業で、フロリンダとキャロルから(のちに毒性があるとわかった)発汗防止の石とカルロスが特別に魔法をかけたローズマリーを受け取った。後者は、煎じて入浴のときに使う。陰部を週三回、5分間洗うそうだ。
そうすれば過去に関わった男が体の中に残した虫を取り除けるといわれた。
タイシャの本に書いてあるエピソードです。
ローズマリーの用法を調べてみると確かに女性の子宮を健康にすることがわかった。
カルロスは、この二人(フロリンダとキャロル)をひそかにthe Castanettes(カスタネット)と呼んでいた。
クラスに通いだし、弟子のコアメンバーとも知り合いになった。
ある日、カルロスに食事に誘われピザを食べていたとき(昔のように笑わせてくれた)、フロリンダとキャロルがサンフランシスコでドン・ファンを見かけた話を切り出したところ、カルロスが眉をしかめた。
「僕たちはドン・ファンが自由になっていないのかもしれないと心配しているんだ。
「ドン・ファンを見たよ。いや、夢の中で見たんだ」
私が「彼に話しかけたの?」と聞いたら「話しかける?これをなんだと思ってるんだ?パッケージツアーじゃないんだ!」
と鼻をならした。
カルロスが私に嫌味をいうのはこれがはじめてだったので驚いた。
彼は微笑むと手をとって「君はこうしたことにまだ慣れていない。僕の本を読まないほうがいい。呪術は体で感じるものだ」
食事が済んで、二人で腕を組んでスタジオに戻ったとき、生徒たちの目が怖かった。
クラスが終わってからフロリンダに呼ばれ、Westwoodの家(フロリンダ、タイシャ、カルロスたち)が同居している)で一緒に住まないかと誘われた。
グルの内弟子ですな。
電話の不便さ、いま兄とやっている新しい仕事などを理由に断った。
特別な仲間に入る試験に落ちたと感じたが深く考えないことにした。
(初出:2017年1月3日)