次にロスに行った時、カルロスは、自分の”娘”(Claude)に私を会わせたがった。
ちょうど最新の著書『夢見の技法』の原稿が準備できたところだった。
その中には彼女が異世界の生まれだという内容も書かれていた。
夢見は、93年の出版です。原稿が上がったのはその半年前くらいでしょうか。
カルロスは、Claudeを”非有機的存在”と表現し彼女は人間特有の性質が少ないので自由なのだと説明している。
夢の中で第二の注意力から取り出したものなのでたった一部しかないという原稿を渡され一晩で読んで返してほしいといわれた。
”夢見の技法”は、まったくこれまでのカルロスの本らしくなく、絶望的に編集と校正が必要に思えた。
つまり、ゴーストライターを使わないと文章が下手だということです。

カルロスは、スポンジみたいなトンネルを夢の中でくぐりぬけてほかの世界に行って戻ってこれなくなる危機に直面する。まるで、へたくそなSF小説のようだった。
バック・ロジャーズの冒険話のようなあっさりした中身で、初期の作品にみられるようなドン・ファンとの魅惑的な対話がなかった。
ドン・ファンは登場するにはするが、その会話はまるで疲れ切った学者のようだった。
読むのに苦労したが、ようやくキャロル・ティッグスの話にたどりついた――カルロスは、この箇所について特に読んでほしいと言っていた。
文章はあいかわらずひどかったが、内容には興味をひかれた。
カルロスは、私がキャロルと「The Death Defier」(死への反逆者)について教わった話を膨らませDeath Defierは、魔術を施す代償として得た体を使って二十七世代もの間、男や女の姿で生き続けてきたという。
カルロスは、Death Defierの申し出を施しは受けないといって断ったと言った。
カルロスは、夢の中で浮浪児のような青い目のやせた子供を見つけた。その子供は想像を絶する期間、アストラル体の牢獄に囚われていたという。
カルロスは、彼女を助けるのは危険だというドン・ファンの反対を押し切った。
「The Death Defier」はキャロル・ティッグスの身体に入り込み彼女の力と合流した。そして一緒に「子供」を救った。
現実の世界に戻ると少女はカルロスとキャロルの間にもうけられた子供だと言われた。
(カルロスはキャロルのことを”妹”と呼んでいて、もっとわけがわからないことになっていた)。
The ”Blue Scout(青い偵察)”(Claudeのこと)はキャロルの胎内から生まれたといわれていた。異常なほど長い指であるとか赤ん坊なのに大人の性質を持っていた。(この赤ん坊は今は30歳だ)
カルロスと生と死の間のカルロスを救おうとした仲間たちはこの冒険で命を落としかけた。
(初出:2017年1月4日)