フロリンダがバークリーの家に電話をかけてきて、ナワールと恋におちるのはばかげていると叱られた。
しかし、カルロスもわたしもお互い普通の人間として愛し合っていると認め合っていた。
一方、カルロスとの関係が近くなった分、彼は、私に対して傷つけるようなことを言うようになった——服がおしゃれじゃない。猫を飼ってはいけない。まだ”人間”のままだ、とか。
私だったらそこまで指示されたら即、別れますね。
カルロスは父の代わりであり、恋人であり、グルでもあって目がまわるようだった。
カルロスは、二人の婚約について発表しようと言った。
言われた通り、母以外の人たちには、そのことを告げた。
でも普段はあんなに秘密主義なのになぜなのかと聞いた。
「ニューエイジオタクたちがどのように思うか知りたかったんだ」
「どうだったの?」
「羨望。怒りで震えるようだった」彼は身震いした。
カルロスは私がシャーマンの家を訪れる準備ができたと判断した。
彼はその家を「魔女の家」あるいは「タイシャの家」と呼んでいた。
内部はカルロスが「生れてはじめて内的沈黙」を体験したUCLAの歩道を再現していたり、たくさんの手を加えてあった。
「内的沈黙」についてはカスタネダの著書を読んでいる方ならお馴染みですね。でも、著書にはどこにもUCLAの歩道でその境地に達したというエピソードは書かれていなかったと思います。
追記2017/02/02)初出時代のコメントで『無限の本質』にエピソードがあるというご指摘をいただきました。(pending)
夕暮れの”逢魔が時”に家に到着した。BrentwoodからWestwoodの住宅地に入り、スペイン風のコンプレックスの前で車を停めた。周りを12フィートの植木で囲んでいた。
(庭木や彫刻など調度品のの詳しい説明がありますが省略します)
この屋敷の場所については、こちらをご覧ください。
パティオ(中庭)に向かって手をひらひらさせた。
「ここにビッグ・フロリンダ(ドン・ファンの仲間)がここにいたんだ。ドン・ファンが僕たちの目の前で燃えて去っていくとき、彼女は僕たちをガイドするために残ったんだ。彼女は白いサンドレスとつばひろの帽子をかぶってレースのヴェールをかけていた。
ビッグ・フロリンダは、ぼくたちを大馬鹿で病的に自己中心的な連中だといって、僕たちを待てなかった。彼女が去るとき小フロリンダの手をつかんで連れて行こうとしたんだ。ぼくは彼女のもう一方の手をつかんで離さなかった。ビッグ・フロリンダは燃え出した。
小フロリンダは一緒に行きたかったものだから僕に激怒した。
チャンスを失ったのだから、ぼくが「無限」に行くときには必ず連れていけというんだ」
(初出:2017年1月18日)