フロリンダがCloisonne jar(七宝焼きのツボ)をくれた。ドン・ファンのパートナーのビッグ・フロリンダが持っていたものだそうだ。
フロリンダは、陶器の器を作っていた。
これにナワール・Lujan(フリアン)がつけていたイヤリングをしまうそうだ。
Lujanは中国からテンセグリティの伝統を伝えた人だそうだ。
フロリンダが大きなカウベルに似たアメジストのペンダントをくれたが、FifiやClaudeがみたら嫉妬するから身に着けるなと言われた。
「フロリンダ。あなたは行こうとしているのね?私には一緒に行こうといってくれないの!」
「”行くこと”は誘うものじゃないの。それは自然に起こるのよ」
「うそ。あなたはSimonを誘ったじゃない」
彼女は私の発言を無視して言った。
「どうしてあなたにこのアミュレットをあげると思うの?私たちがいつまでもつながっていられるようによ。それに、私はこれを誰が作ったか知ってるから」
彼女が去ってから私はよくこのペンダントを眺める。
カルロスの伝説とうらはらに彼の父親がペルーの宝石商だということを私は知っている。彼は25歳まで故郷にいたのだ。
彼はこれを彼のお気に入りのハミングバードのために作ったのだろうか?
私は、服の下にしまい込んだ。フロリンダを私の心臓のそばにおいておくことにした。
私がフロリンダを最後にみたのはいつだろう?この日の翌日?
それとも二日後だったか?
いつものように彼女と激しい運動のあと、セックスについて話し合った。
大声でNew Yorkerを読み聞かせて、彼女に少しスモークサーモンを食べさせた。
私の最後の記憶はいつものようにパティオの門にいた彼女だ。
彼女はいかにもドイツ系らしくいつも落ち葉をきれいに掃除するように言っていた。
キスをかわしてさようならを言って。
これまで一度もしなかったのに振り返った。ハミングバードのように静止していた。
光る眼が記憶に残っている。
(初出:2017年3月2日)