1991年のある晩、新聞を見たらフロリンダ・ドナーがGaia Booksで講演会をやるのを知った。
ガイア書店は、ニューエイジ、フェミニズム関係の書店で、バークリーの我が家から数ブロックのところにあった。
ガイア書店については、先にエントリーとして公開してありますので参照してください。
アメリカの書店には、こうした専門分野に特化した店がありまして、マニアにはたまりません。
私もSF専門店によく出入りしていました。
大好きなフロリンダだったのに、会わなくなってもう10年も経っていた。
頭痛がしてたがアスピリンを飲んでいくことにした。この行動がわたしの一生を変えた。
「魔法はどこにでもある、だが普通の連中は未知のものをおそれてしまう」とカルロスはよく言っていた。
「僕はいつでも列車の先頭に乗る。だから僕がみるものはすべて新しい。他の人々は車掌室に暮らしている」
まだドアが開いていない準備中の会場につくとフロリンダを見つけた。小柄な輝くようなフロリンダ。隣に彼女より背の高い女性。曲線美、アーモンドのような眼、ゴマ塩頭。二人はニューエイジのおもちゃで遊び笑っていた。
勇気を出してフロリンダに声をかけた。
昔通りの超活動的だった。5フィート2インチ。100パウンド。
骨細で筋肉質、輝く青い目、1インチにとんがらせたブロンドヘアー。
再会を狂喜した。
なぜこんなに髪を短くしているのか尋ねた。
これは、カルロスの好みだということが後にわかります。
ちょうど、アマゾンのYanamomo族のところからかえってきたばかりなの。虱のため剃らなきゃならなくなったの。
フロリンダ・ドナーの紹介の項目にも登場するYanomamiのことだとおもいますが、Amyの本の表記はミススペリングだと思います。
子分(仲間)を紹介するわ。彼女は、女のナワールよ。(Amy39)
ナワールウーマンとは、女性でカルロスと同じ役割を担う。カルロスと双子の妹のようなもの。そして彼らのリーダーでもある。名前はCarol Tiggsだった。
キャロルは、いきなりでたらめなロック・ソングを歌いだした。「ナワ~~~ル・ウーマン~~~」
これ以外は、キャロルは近寄りがたく謎めいていて濃い青い目に暗い影があった。
彼女はあまりしゃべらなかった。フロリンダと真逆。太陽と月。
あまり好きになれなかった。最初のふざけた歌があったにもかかわらず冷たくユーモアがなかった。フロリダやアンナ・マリー(Anny)とは違った。
「あなたはアーヴィング・ウォレスのお嬢さん?聞いているわ」
カスタネダの本編では、謎の存在だったキャロル・ティッグスが「実在」したことを私がわかった瞬間です。
講演中、キャロルの隣に座った。

フロリンダは、最新の著書Being-In-Dreamingの宣伝をおりまぜた。
彼女の最初の著書、Shabonoは、Yanamomoインディアン(スペルについては前述のとおり)との記録だったが、イタリア人著者の作品の盗作といわれて非難されていた。
彼女は、(カルロス同様)自分のフィールドノートを紛失したといっている。
その結果、UCLAの学位が認められることはなかった。
(初出:2016年12月26日)