カルロスは、Furstの授業でドン・ヘナロの滝登りについて話を披露した。この話でFurstはHuicholインディアンとの体験を思い出した。
1966年に彼が行ったフィールド・トリップで、Furstと彼の連れのhikuri(peyote)探索者であるRamon Medina Silvaが滝の淵で曲芸を行ったのだ。
それはHuichol族の小人数のグループに”バランス”について説明するためのデモンストレーションだった。
Ramonは、サンダルを脱ぐと、儀式を行った後、滝の上の岩から岩へ飛び移り、すべりやすい崖につかまったり、時には動きを止めた。そして突然、水の上を大きく跳躍した。
大きな岩に隠れたかと思うと再び現れ岩から岩へ飛び移るのだ。
その場にいた者たちで、心配そうにしているのはFurstと彼の妻だけだった。
Ramonの妻もいたが他の人間と一緒に静かに座っているのだった。
翌日、Ramonが、あれはばかばかしい曲芸などではなく、”バランスを持つ”というシャーマンにとって重要な考え方を見せたのだと説明した。この普通の世界とそれを超えたところにあるものを結びつけるものがあってそのために必要なことなのだと言った。
抽象レベルでは理解できても西洋人であるFurstには受け入れがたいことなのであのようなデモンストレーションが必要なのだと言った。
この話は、Furstがフィールドワークから戻った1966年にはよく知られていたエピソードだったことも確かだ。
だから、その四年後に同じようなエピソードをカルロスがFurstの授業で話すと言うのは奇妙なことだ。
Ramonは、滝のバレエはシャーマンの特技だと言ったというから、もしかすると呪術師はどこでも皆同じことをするのかもしれない。
とはいえ非常に疑わしいこともある。同じようなケースで、ドラマッティックな話をカルロスは後に書いているのだ。
それはMichael Hanerがカルロスに、ヤキ族がダチュラのペーストをお腹に塗る話をしたことがあるというのだ。
ヤキも麻薬を使うんですね。それともデミルの指摘は、彼らがペヨーテ”は、”使わないってことなのでしょうか?
カルロスは、後で本に書いたエピソードが、友達に話していたネタをもっと複雑にしたものだったことが多い。
オアハカのレストランでメキシコの少年たちが食べ残しに殺到したエピソードもその一つでQuebecの事務所で語った。
この話は、『分離されたリアリティ』が出版されるとドン・ファンによる教訓めいた話になっている。
こうした話は他にもたくさんある。
Douglas Sharonのカルロスについての思い出を省略します。
(初出:2018年7月23日)