Maya30『カルロス・カスタネダとの魔法の旅』23(2/3)

カルロスはSharonの話を熱心に聞いていたが、自分が話す番になると、いつものような感じで本題からはずれた逸話を話しはじめ「正しい生き方」についての自分の意見を披露した。少しは新しい部分もあったがSharonが前に聞いた話ばかりだった。

1972年の春、UCLAでは学生たちの熱望でカルロスが教授として招聘されることになった。

カルロスは、Irvineキャンパスで二つのクラスを受け持つことになった。ひとつは学部生向け、もうひとつは大学院生向けの「シャーマニズムの現象学」というタイトルだった。
どちらの講義も彼の博士論文と『分離したリアリティ』以降、彼が書きためたものに基づいていた。この新しく書かれたものは『呪術:世界を著す( Sorcery: A Description of the World )』というタイトルの論文になり、これが後の『イクストランへの旅(Journey to Ixtlan)』として出版される。

セミナーには12人の学生が登録していたが、初日には30人はいたと思う。

Rosemary Leeというカルロスのアシスタントが講座の概要を説明した後、カルロスが口を開いた。

私の修行は終わってしまった。ドン・ファンが私に教えるものはもう残っていない。私は呪術師の実践に必要な知覚をすべて持っている。知覚は変えられる。ドン・ファンは、私に別のリアリティを見る力をくれた。もう彼が教えることは残っていない。私はこれからは自分一人でやっていかなければならない

その後の授業でカルロスは、彼が最後にドン・ファンに会ったのは5月のことだったと説明した。

ドン・ファンの家で、ドン・ヘナロが不思議な体術を見せてくれた。腹を下にしてまるで床の上で泳いでいるようにすいすいと動き回ったと言った。
だが、本当の驚きは午後遅くにおきた。カルロスの車が消えたのだ。

この下りは、『イクストランへの旅』を参照

(車のエピソードを話した後)カルロスがニヤっと笑った。

「二人の呪術師が世界について合意をしているので、彼らは他の人間にも彼らが見ているリアリティを見せることができるのです。
「呪術師は理屈や物理的な力学のような感覚を分離することができるのです」

彼の学部生向けのクラスはテストやレポートなどきちんと進めていたが大学院の方はまったく型にはまってなかった。
熱心な学生だったRussとRosieがカルロスの論文のコピーを手に入れるまでテキストすらなかった。

(初出:2018年7月26日)