Maya33『カルロス・カスタネダとの魔法の旅』24(2/8)

古代のエジプトやインドの神学体系ですら不十分なものだったんです。それは主観的な原理に基づいていて現実の生活にはまったく役に立たなかった。結局、外側には本当の物理的な世界が存在しているのです・・・

カルロスはうなずくと「うん、そうかもしれない

初期の神学は思考と感覚に限られていたからだね? 僧侶たちは多神教を捨てて一神教になったが、呪術は存続した・・・

・・・そうかもしれない。たぶん・・・

と、こんな調子で誰かが、1964年のドン・ロベルト(Don Roberto)のペヨーテ儀式などカルロスの著作のエピソードについて質問を始めるまで10分くらい続くのだ。

ここで書かれているペヨーテ儀式とは、カルロスが参加したミトテのエピソードです。

学生たちがする質問は「盟友(ally)」(カルロスがいつも書いていた形のない力)だったり砂漠での生活やドラッグの力だったりした。

Russがオーラや知り合いの魔女、はたまたオカルト関係者について話さない時は、西欧の宗教とドン・ファンの思想の共通点について話をしていた。

”見る”ことは、例えば、禅でいうところの”悟り”に近いんじゃないかと思います。どちらも世界を把握するための深い洞察に基づいている。禅の心は「戦士」の生き方と共通しているものがあると思うんです。どちらも煩悩からの解脱や無の境地に達するための訓練が必要だし。禅とドン・ファンの哲学はどちらも自然との調和が重要、だからとても似てると思います

カルロスはまた同様に答える。「面白いね。もっと教えて欲しいな

東洋神秘学の本には呪術の世界と驚くほど似通っていることが書かれています。例えばYogi Ramacharakaの『Fourteen Lessons in Yogi Philosophy』がそうです。その本には人間のアストラル体から発する光が人の周りを囲んでいて卵の形になっていると書かれています。その光を体から分離すると驚くような力を発するそうです。あなた(カスタネダ)が著書に書いてある話が出てくるんです

カルロスは、学生たちのフィードバックを歓迎していた。

Russの発想は馬鹿げていることもあったが、東洋と西洋の関連性というトピックには興味をもったように見えた。カルロスは、その発想をはじめて聞いたような感じに見えた。だが、カスタネダはアメリカインディアンの呪術の原形がアジアに発するものだと知っていたし、彼らの祖先がアジアから渡ってきていたことを知っていたのだ。

ある日、教室でカスタネダはHarold Garfinkel教授の家に招かれたとき、その場に「盟友」を呼ぼうとした話をした。

Garfinkelはまじめなユダヤ人の教師でPacific Palisades(高級受託地)に住んでいた。
Garfinkelは、現象学の権威で固い人物だったがカスタネダの研究に興味を持っていたので彼を自宅に招いたのだった。

話の途中でカルロスは、いきなり「盟友」がそばに来ているから部屋に呼び込んでもいいかと尋ねた。 いつものカルロスのやり方だ。

(初出:2018年8月1日)